2014年4月12日土曜日

第五章 この出来事の終わり:その一

第五章 この出来事の終わり:その一

 そうだ!
 そのベットの支柱はスクルージの部屋の物だった。
 ベットもスクルージの物なら、部屋も彼自身のものだった。
 すべてが最もよく、そして最も幸福だった。
 スクルージは、以前の時間に戻った彼自身だった。そして、目
が覚めるもうろうとした中に、あの砂時計の黄金に輝く砂が、ま
だ少し残っている幻影を見た。

 改心することができる!

「私は過去のことを心に刻んで暮らします。現在、そして、未来
のことも!」と、スクルージはベットからはいだしながら、以前
の言葉を繰り返した。
「出会った精霊様すべてが、私の中で励ましてくれるだろう。お
お、ジェイコブ・マーレーよ! 君の、その重い鎖からすぐに楽
にしてあげるよ。安心しておくれ。そして、クリスマスの時間は、
必ず君のことを思い出すよ。そして、感謝の言葉を贈るよ。親愛
なるジェイコブよ。感謝します!」

 スクルージは、流れる血の暖かさを感じ、胸が躍るようで、そ
れが彼のよい意志を輝かせた。
 スクルージの衰弱した声で投げかけた言葉に返事はなかった。
しかし、彼が激しくすすり泣く中で、彼は精霊が身近にいること
を感じた。だから、彼の目から涙があふれた。 

「部屋のどこも、荒らされていないぞ!」と、スクルージは叫ん
だ。
 スクルージは、腕の中に彼のベッドのカーテンの一つを抱き寄
せた。
「どこも引きちぎられてない。リングもすべて、ここにある。私
もここにいる。あれは精霊様が見せてくださった、今までの私が
たどる幻影だったのだろう。やり直せるかもしれない。彼らに会
おう! 私は彼らに気づいたんだ!」

 スクルージの手は、着替えをしようとして慌しく、パジャマを
脱ぎ始め、裏返しに回したり、止めて上下にしたり、涙したり、
置き忘れたり、集めたりして、喜びを爆発させた。そして、あら
ゆる親切をとほうもなく考えた。

「私は、これから何をしたらいいか分からないよ!」と、スクルー
ジは叫んだ。そして、笑ったり、泣いたりを同時にした。

 混乱したスクルージは、靴下を使っておどけてみたりした。

「私は羽のように軽い。私は天使のように楽しい。私は学生のよ
うに陽気だ。ああ、目が回る。酒に酔った人みたいだ。皆さん、
クリスマスおめでとう! 新年おめでとう! 世界中の皆さん! 
新年おめでとう! おーい、戻ったぞ! ほーう! おはよう!」

 スクルージは、ベッドの上ではね回った。そして、今はそこに
立っていた。完全に息切れした。

「シチュー鍋がある。中にオートミールのシチューがあった!」
と、スクルージは叫んだ。それだけで元気が出て、また騒ぎ始め
た。そして、暖炉の周りをはね回った。
「ドアがある。あそこからジェイコブ・マーレーが入って来たん
だ。あの部屋には現在のクリスマスの精霊がいて、座っていたん
だ。窓もある。私はさまよっている友人達を見たんだ。それは確
かだ。それはすべて本当だ。それはすべて起こったんだ。ははっ、
はははっ、はははははっ!」

 本当に、スクルージの長い人生の中で、それは表現したことの
ない笑いだった。最高に愉快な笑いだ。彼のどの祖先よりも、人
生の長い道のりの中でも、特に輝く笑いだった。

「私には、今が何月の何日か分からない」と、スクルージは言っ
た。
「私はどれぐらい長く、精霊様が私に寄り添ってくださったのか
分からない。私には何も分からないよ。私はまるで生まれたばか
りだな。だが、少しも心配はない。私は心配しないぞ! 私はむ
しろ生まれ変わろう。おはよう! ほーう! おーい、戻ったぞ!」

 スクルージの喜びは突然、妨害された。彼が夢中になっていた
ところ、近くの教会で、すごく大きなとどろきが響き渡った。そ
れを彼は以前に聞いたことがある。

 ゴーン、カーン、とハンマー!
 ディン、ドン、とベル!
 ベルが、ドン、ディン!
 ハンマーが、カーン、ゴーン!
 おお、すばらしい!
 すばらしいぞ!